山口県の部落問題について 概要・組織について お問い合せ/ご相談 関連リンク

トップページ>概要・組織について

部落解放同盟山口県連合会ガイド

2008年度(第57期)一般活動方針(案)

第1部「基調方針」

人権をめぐる内外の情勢

  1. 今年は、1948年に国際連合の総会で「世界人権宣言」が採択されて60周年にあたります。世界と日本をとりまく平和と人権の状況を直視したとき、「世界人権宣言」の普及・宣伝と実現に向けた取り組みを飛躍的に強化する必要があります。
  2. 国連の人権理事会が2006年6月から活動を開始し、12月には国連総会で「障害者の権利に関する条約」が採択さました。2007年9月には、永年の懸案であった「先住民の権利宣言」が採択されました。
  3. 今年3月から人権理事会において、国連加盟国の人権の履行状態に関する審査が開始されました。この審査は、人権理事国になっている国から審査されることになっているので、人権理事国メンバーである日本に関する審査が現在おこなわれています。
  4. 今年10月には、日本政府の第5回報告が自由権規約人権委員会で審査されることとなっています。かくして、2008年は、国際的に日本の人権状況が注目される年となっています。
  5. 2000年12月「人権教育・啓発推進法」が制定されました。また、文部省では人権教育の指導方法等に関する調査研究会議を設置し、3次におよぶ「とりまとめ」をおこない、報告書を各学校に配布しています。
  6. 2007年6月、内閣府が国民の「人権意識調査」を実施しました。人権侵害の推移については、「多くなってきた」(42%、前回調査03年36%)と答えた割合が上昇しており、人権侵害の経験については「ある」(16%、前回調査13%)と増えています。
  7. 一方、同調査では、同和問題を知ったきっかけについて、「学校の授業で教わった」(19%)、「同和問題を知らない」(20%)という現状です。また、同和問題に関してどのような問題が起きているかについて、依然結婚問題がもっとも高く(42%)、身元調査(30%)、就職・職場での不利益な扱いと答えた割合(42%)という結果です。部落問題の正しい認識を培う学習活動は今後も重要です。

ページトップへ

今大会の意義と任務

本大会は「世界人権宣言」60年の年であるとともに、「5万日の日延べ」といわれた、「解放令」から5万日を迎える年に開催されます。
今日もなお、部落差別は現存し、部落問題はわが国における深刻な社会問題であり、課題が山積しています。このことを踏まえ、部落解放運動の原点に立ち戻り、部落解放を実現できる組織と運動を作り上げねばなりません。

 

(1)本大会の第一の意義と任務は、県内で続発する差別事件の徹底した真相糾明に取り組み、部落大衆の差別への怒りを組織し、部落問題の根本的解決へむけた行政責任を明らかにさせる運動に取り組むことです。
三重県の行政書士による戸籍謄本等不正取得事件、萩市結婚相談所差別事件、県内の就職・面接時における「統一応募用紙」違反など、結婚や就職をめぐる部落差別があとを絶ちません。これらの糾弾闘争を通じて、差別を温存・助長する社会システムを明らかにし、変革していかなればいけません。

(2)本大会の第2の意義と任務は、2009年7月に開催する「第34回部落解放・人権西日本夏期講座」山口大会の成功に向けて、全力で取り組むことです。
1987年に山口でおこなわれて以来、実に22年ぶりに来年7月に夏期講座が山口市で開催されます。
22年前の第12回大会をきっかけに、山口同宗連が結成さました。今回の夏期講座の取り組みを通して、「部落解放共闘」の再建や、「山口同企連」の結成なども視野に入れながら、今後の各支部・県連の組織強化につながるように位置づけ取り組みます。

(3)本大会の第3の意義と任務は、今年実施する「県民人権意識調査」が、県内の部落差別の現実認識、部落問題解決に有効な調査内容となるように、徹底した学習と議論を進めていくことです。
一般施策による同和行政への移行から6年が経過しましたが、本当に一般施策で部落問題が解決しているのか、市民の部落差別意識はよくなっているのか、特措法後の同和行政の取り組みがどのような効果を上げ、どんな問題が解決されていないのか、徹底した効果測定が求められています。そのためにも、今回の「県民人権意識調査」は非常に重要な意味を持っています。

(4)本大会の第4の意義と任務は、人権教育という名のもとに「ブ(部落問題)抜き、サ(差別)抜き」の人権学習になっている学校教育・社会啓発の現状を明らかにし、「同和教育を基軸とした人権教育」の創造を強く進めていく運動に取り組むことです。

(5)本大会の第5の意義と任務は、県内の就職差別の実態を明らかにし、企業での公正採用選考システムの確立・就職差別撤廃に向けて、県や労働局・ハローワークなどと連携した取り組みを進めることです。

(6)本大会の第6の意義と任務は、地域に根ざした運動を展開する組織改革の方向を明らかにすることです。
同盟員の高齢化や減少、支部活動の実態など現実をしっかりと把握し、執行部を中心に各支部への入り込みを実施し、各支部活動の活性化に取り組みます。

(7)本大会の第7の意義と任務は「人権と平和」の視点を堅持し、戦争へつながる国権主義・民族排外主義と断固対峙し、「人権侵害救済法」の制定をはじめとする総合的な「人権の法制度」確立に取り組むことです。

(8)本大会の第8の意義と任務は、狭山第三次再審勝利を勝ち取り、司法の民主化を進める運動を進めることです。

ページトップへ

第2部 課題別方針

【一】差別糾弾闘争のとりくみ

差別糾弾闘争は部落解放運動の生命線です。部落差別の捉え方は、部落解放運動の前進とともに深化しており、差別糾弾闘争では、その時代の社会的背景や部落差別の実態を正確に捉え、これまでの成果を生かし、社会システムの変革を求めていくことが重要な課題になっています。差別糾弾闘争では、何よりも差別事件の背景・原因を明らかにし、今後の課題を明確にしていかなければなりません。

 

(1)行政書士などによる戸籍謄本等不正取得事件

  1. 2003年以降、京都府、兵庫県、大阪府、愛知県、東京都等において、司法書士や行政書士などが「職務上請求書」を使い、戸籍謄本や住民票などを取得し、興信所へ横流しているという、不正取得事件が全国各地で発覚しています。このことは、いまなお結婚や就職などで、部落差別による悪質な身元調査がおこなわれている現実を浮き彫りにしています。
  2. 2007年8月、三重県の行政書士が戸籍や住民票などを、横浜市内の興信所からの依頼にもとづき「職務上請求書」を使って不正に取得していたことが発覚しました。これは三重県の行政書士会の調べで明らかになったもので「職務上請求書」511枚を使用し、戸籍謄本や住民票を全国44都道府県、230市区町村から不正取得していました。
  3. この三重の行政書士によって、県内でも06年10月、11月にかけて合計10件(宇部市7件、岩国市2件、柳井市1件)の戸籍謄本等が不正取得されていました。
    その後の調査により、県内の10件すべてが興信所の結婚調査に使用されていることが明らかになりました。
  4. これらの戸籍謄本等不正取得事件は、興信所と行政書士による確信犯的な取り組みですが、当該市においても、「職務上請求書」の悪用を防止できなかった責任があります。
    この間、東京や広島、和歌山、大阪などの自治体では本人に不正取得の事実を告知し謝罪、その後人権侵 害救済に対する取り組みをおこなっています。「自覚なき被害者」への告知が実施できるように今後、当該行政に強く求めていきます。
  5. 今後、県連としては、これら一連の戸籍謄本等不正取得事件を踏まえて、行政書士など八士業による同様の不正取得がおこなわれないように、山口県行政書士会や関係機関などに対しての取り組みを進めていきます。

(2)萩市役所「結婚相談所」差別事件

  1. 萩市は今年の5月9日に、結婚相談所を市役所に開設しました。専門の相談員を置いて出会いの機会を少しでも増やし、市内への定住を進めるねらいで開設されました。結婚相談所を市庁舎内に設けるのは全国でも珍しく、山口県内では初めての試みで注目されていました。
    結婚相談所については、晩婚化・少子化・若者の定住化政策という主旨は理解できます。しかし、登録方法として、「申込書」と写真・身分証明書の他に、戸籍謄本の提出を求めていました。
    また「申込書」も、本籍地をはじめ、宗教、健康状態、障害の有無、同居・別居家族の続柄、職業等を書かせるといった、差別的なものでした。
  2. すでに通産省(現・経済産業省)が、2000年5月10日付けで、結婚情報サービス・結婚相談業者と市区町村に、入会申込者が独身であることを証明するものとして「戸籍謄抄本」ではなく、「独身証明書」を一般行政証明書として活用するよう要請しています。
  3. 「独身証明書」の発行の背景には、戸籍謄抄本による身元調査、結婚差別の実態から、部落解放運動が、結婚差別の解消を目指し関係行政機関に対する取り組みを重ねてきた結果、「独身証明書」の発行にいたりました。
  4. 2003年通産省が全国の結婚相談業者を対象に実施した調査では、全国で結婚相談所は推定3,100ヵ所。入会時の提出物としては、写真84%、履歴書51%、戸籍謄本抄本33%、住民票23%という状況でした。
    また、2004年大阪府・市の調査では、結婚がまとまらなかった要因において、相手が同和地区出身であったからが9%、相手の家柄が8%、相手の家族に障害者がいるからが6%、相手の国籍・民族が5%という結婚差別の実態も明らかになりました。
  5. 今回、萩市の結婚相談所が戸籍謄本の提出を求めることは、結婚差別に直結し、差別を助長する可能性が高いものです。民間企業ですら「独身証明書」の使用を進めている現在、行政ともあろう機関が、なぜこうした差別的取り組みをおこなったのか、その原因と背 景を明らかにさせる必要があります。また、なぜ誰もこの問題性に気づかなかったのでしょうか。
  6. 今後、県連としては真相糾明に取り組み、今後の萩市の人権・同和行政の抜本的見直しに向けた糾弾闘争を進めていきます。
  7. 県に対しても、「独身証明書」活用実施を県内の市町の関係機関に周知するように求めます。また、民間の結婚相談所の実態把握につとめ、萩市と同様の問題がないか、取り組みを進めていきます。

(3)就職差別撤廃・公正な採用選考をめざして

  1. 就職差別を撤廃するために、全国の就職希望の高校生が使用する履歴書(「全国高等学校統一応募用紙」)が2005年に改定されました。具体的には「ひとり親家庭」などへの差別の温床となっていた「保護者氏名欄」と「印鑑欄」が削除されました。この改定は96年の「家族欄」削除をさらに一歩進めた画期的な改定でした。
    しかしながら、その「統一応募用紙」違反や、「職業安定法第五条」(求職者の個人情報の取り扱い)に違反した、就職差別につながる恐れのある求職者への情報収集があとを絶ちません。
  2. 2007年度、県教委が把握しているだけでも、面接時に家族構成などを聞く違反質問が33件も報告されています。
  3. 「統一応募用紙」違反をなくすために、子どもたちが「統一応募用紙」の精神を理解できるように学習を行い、県内統一の「受験報告書」の作成・実態把握などの検証システムの構築にむけた取り組みを進めていきます。
  4. ハローワークなどの労働行政や企業と教育行政や学校が連携して「進路保障協議会」などの組織化に向けた取り組みを進めます。
  5. 県やハローワークなどに対して、公正採用選考推進員の設置事業所の把握、研修の実施、違反した事業所への指導なども求めていきます。
  6. 「統一応募用紙」は、部落差別だけでなく、様々な差別を許さない取り組みとして進んできました。その意義をあらためて広く訴えていくと、ともに連合・自治労などの共闘団体と就職差別撤廃に向けた取り組みをおこないます。

ページトップへ

【二】同和問題解決に向けた行政闘争の闘い

行政闘争とは「差別行政糾弾闘争」であることをもう一度、再確認する必要があります。差別実態を自らの力で把握し、その実態解決のための課題は何か、課題解決に向けた運動の役割と、行政責任の所在はどのようなものかを判別し、社会性・説得性・公開性のある「部落解放要求白 書」をまとめ、行政交渉を展開しなければいけません。

とりわけ、部落差別撤廃への主要な課題である仕事や雇用、生活や福祉、教育や文化の分野などでの取り組みが強化さることが求められています。

 

(1)県民人権意識調査について   

今年度に実施する「県民人権意識調査」は、2010年に改訂される「山口県人権施策推進指針」の見直しの素材になる調査であり、今後10年の県の人権行政・同和行政に大きく影響するということをしっかりと認識して取り組みを進めていかなければなりません。そのためには、今回の意識調査が部落問題解決に有効な内容となる調査にしていかなければなりません。

  1. 他県の先進的な意識調査の学習を行います。
  2. 調査内容の作成・結果分析などのプロジェクトチームに、部落問題に精通した学者・研究者を入れるように強く求めていきます。
  3. 「人権施策推進審議会」の意見を聞きながら、意識調査を進めていくことになっているので、解放同盟としても審議会で、意識調査に関しては積極的な発言等をおこないます。

(2)行政交渉について

「特別措置法」失効後、各市町の行政職員のなかで、「法律も切れたことだし、もう部落問題は終わった」という認識が蔓延している状況があります。また、市町村合併により、同和地区のある市町村と、同和地区のない市町村の職員の部落問題に対する温度差などにより、同和行政が後退している現実があります。

「部落差別が現存する限り、この行政は積極的に推進されなければならない」と指摘された「同対審答申」の具体化のためには、部落差別の完全撤廃をめざす同和行政の推進がもっとも重要な課題です。

また96年に出された「地対協・意見具申」では「同和行政は多くの人々の努力によって、解決へ向けて進んでいるものの、残念ながら依然として我が国における重要な課題と言わざるを得ない」とし、「この問題の解決に向けた今後の取り組みが人権にかかわるあらゆる問題の解決につながっていく」との方向が提言されています。「同対審答申」や「地対協・意見具申」で明らかにされた同和行政の原則を県内の各市町や県に求めていくとともに、その責任を追及していく必要があります。

  1. 県内のすべての市町で今後の同和行政、同和教育に対する取り組みの強化を求めて、市町交渉に取り組んでいきます。
  2. 支部独自での市町交渉が難しい場合には、県連や中央オルグ団も積極的に支援に入ります。

ページトップへ

【三】同和教育・人権啓発のとりくみ

(ア)「同和教育を基軸とした人権教育の創造」をすすめよう

教育現場では、同和教育の形骸化した内容、人権教育という流れの中で、「部落離れ」「同和教育離れ」が進み、それを反映して、児童・生徒間の口論やいじめ、面白半分などで賤称語を使用した差別発言が増えています。

県内の多くの学校では、社会科の授業の中で、教科書に載っている記述に触れる程度で、「部落問題を教えている」という現状があります。保護者向けの人権講演会や市町の社会啓発でも部落問題をテーマにしたものは少なく、人権一般の抽象的なものが多い実態があります。人権教育・人権啓発の中に、しっかりと同和教育を位置づけさせる取り組みを進めていかなければなりません。

  1. 文科省の「人権教育の指導方法等の在り方について」「第二次」「第三次」とりまとめを、人権教育の推進を求める武器として活用していきます。
  2. 学校現場で、「同和」離れ、部落問題学習抜きの人権学習になっていないか、総点検し、人権学習の中にしっかりと部落問題学習を入れるように進めていきます。
  3. 抽象的な「思いやり」などの人権一般の講演会や研修会でなく、「差別の現実に深く学ぶ」内容の部落問題などの講演会・研修会を実施するように取り組みを進めます。
  4. 山口県同教と連携をとって、部落の子どもたちの社会的立場の自覚に向けた取り組み、「解放子ども会」「高校生友の会」などの立ち上げなどに取り組んでいきます。
  5. 人権教育という名のもとに、同和教育、部落問題学習を避けないように各教育機関、学校現場に強く求めていきます。
  6. 学校現場におけるあいつぐ差別事件について、徹底した真相糾明に取り組むとともに、差別事件を教材化した研修の実施を進めていきます。
  7. 学校現場で差別事象が発生した場合、担任や学校レベルで判断せず、市教委・県教委や運動団体などとの連携・連絡体制を構築し、現場に周知・徹底するように求めていきます。
  8. 人権学習の副読本「なかよし」「じんけん」の廃止後、県教委は「学習展開例」を作成したが、現在の部落史研究の成果や、部落問題学習の新たな視点がしっかりと活かされるような教材になるように求めていきます。

(イ)「差別の現実から深く学ぶ」人権啓発活動を進めよう

  1. 山口県人権啓発センターの充実、支援体制の強化に 取り組み、講師派遣、学習会、教材開発、啓発相談などに取り組みます。また、関係機関・学校現場などに広く広報していきます。
  2. 研修会や会議など、あらゆる場で解放新聞「山口版」を活用し、県内での部落差別の現実、部落解放運動の取り組みを多くの人に知ってもらう取り組みを進めます。

ページトップへ

【四】組織建設・人材育成のとりくみ

同盟員の高齢化や減少、若い世代が仕事や結婚などで地区外へ流出し、次世代を担う活動家の人材不足など、各支部をめぐる組織の現状は非常に厳しい状況にあります。次世代を担う人材育成は急務の課題です。

「特措法時代」に対応した組織のあり方を根本的に見直す時期にきています。あれこれの対策が目的なのではなく、差別からの解放こそが私たちの真の目的です。そのことを踏まえ、差別への「怒り」をエネルギーとする組織への転換なくして部落解放を実現する組織への変革はありえません。

自らの社会的立場の自覚をすることもなく、結婚差別にあって初めて部落出身ということを知る仲間たち、差別から逃れるために部落を離れ、部落を隠し生きている仲間たちが多くいる現実。その仲間たちに、私たち自身がどこまで「つながり」を持てているのでしょうか。今もう一度、そのような差別に苦しむ仲間たちと「つながり」、部落解放を実現するための組織変革をしていかなければなりません。

  1. 県外視察研修や、県連解放学校を実施し、同盟員自身が学習・交流を深める取り組みを進めていきます。
  2. 5領域からの部落差別の現実や、今日の差別事件の現実を学ぶための県連・各支部学習会など人材育成の場を創設していく取り組みを進めていきます。
  3. 全国高校生集会、全国青年集会、全国解放保育研究集会、全国女性集会などに各支部から高校生・青年や保護者層に声をかけ、共に差別の悩みを語りあい、人材育成・オルグ活動を積極的に進めていきます。
  4. 解放新聞「山口版」の定期発行、記事の内容の充実をはかり、同盟員以外の地区住民にも積極的に配布し、オルグ活動を展開していきます。
  5. 各支部の日常的な地域活動の充実をはかり、そのために県連としても積極的な支援をおこないます。
  6. 現状の労組や企業、県同教、同宗連など共闘団体とより、交流・連携をはかり、日常的な共闘関係を構築していきます。
  7. 各支部が地元の小中学校の教員との「つながり」や連携をつくり、同和教育の充実を強化していきます。

ページトップへ

【五】部落解放・人権政策確立要求の闘い

部落問題解決の仕組みをすべての人の権利伸長につなげていく「人権の法制度」確立の取り組みは、部落解放運動の今後の戦略課題に位置づくものです。当面する「人権侵害救済法」制定の取り組みは、その重要な一環です。

安倍政権のもとで黙殺されてきた「人権侵害救済法」の国会提出の動きは、昨年夏の参議院選挙での与野党逆転によって政治局面が大きく変わり、現実的な課題として浮上させる状況をつくり出しています。

この好機をとらえて今国会での法制定の実現を勝ち取ることに全力をあげて取り組みます。これまでの六年間におよぶ議論の経過を踏まえ、独立性・実効性を担保した法律として決着をつけていかなければなりません。

  1. 独立性・実効性のある「人権侵害救済法」の制定にむけ、不退転の決意で実現を求めていきます。
  2. 国に先駆けて「地方人権委員会」を設置し、人権侵害救済への道を開いた「鳥取県人権侵害救済推進及び手続きに関する条例」に対する国権主義・排外主義的な立場からの攻撃に対し、「条例」が着実に運用されるように引き続き支援していきます。

ページトップへ

【六】狭山再審闘争の取り組み

狭山事件発生から45年をむかえ、弁護団は脅迫状筆跡や万年筆等に関する新証拠を揃え、一昨年5月23日東京高裁に第三次再審請求をおこないました。

狭山事件は部落差別にもとづく「えん罪」事件であり、狭山事件を通して市民一人ひとりが「えん罪」と差別について考えることが重要です。34年以上の長きにわたって一度も事実調べがなされていないことの不当・不公平さを市民に広く訴え、証拠開示と事実調べを実現させ、第三次再審請求に勝利しなければなりません。

  1. 第三次再審闘争勝利に向け、狭山事件の不当性を広く市民に訴えるために、ビラの配布や街宣行動などの教宣活動を強化します。
  2. 各支部、地域、職場で、狭山事件の不当性や冤罪事件の学習を通して司法改革を考える総学習運動に取り組みます。
  3. 狭山中央集会などに各支部からも積極的に参加します。

ページトップへ

【七】反戦・平和・反差別共同闘争

(1)人権と平和の確立に向けた共同闘争を強化しよう

いま日本は「戦争ができる国家」へ、着々と準備を進めています。政府は、憲法九条を変えて、喜んで戦争に行く人を増やそうとしています。そのために「教育改革」という名目で、戦争をあおり、「差別の強化・格差の拡大」をおこなっています。

このような情勢のなか、私たちは、日本国憲法施行61年の試練と検証を受けてきた基本精神である「戦争放棄」「基本的人権」「主権在民」は今後においても揺るがすことのできない立場であると確信しています。差別撤廃・人権確立の立場から議論を展開することが重要となっています。

  1. 憲法改悪に反対し、憲法の「戦争放棄」「基本的人権」「主権在民」の三原則を堅持し、具体化する取り組みを強化します。
  2. 「君が代・日の丸・元号」の強制に端的にあらわれる国権主義に反対し、天皇制強化と政治利用の動きに反対し、さらに民主主義の徹底を求める多くの人との共闘を追求します。

(2)部落解放・反差別共同闘争をすすめよう

  1. 共闘の組織拡大と運動の深化をはかり、連合との共闘を前進させ共闘を拡大します。また、労働組合との共闘という観点から、とくに雇用差別撤廃や生活防衛の共闘を前進させます。
  2. 部落解放・人権確立を求める企業、宗教者との連帯共闘を深めます。
  3. 労働、教育、福祉などの分野ごとに共闘の課題を明確にし、それぞれの共闘団体との協動・連帯の取り組みを進めます。
  4. 隣保館での人権教育・啓発活動・人権のまちづくりをとおして、地域周辺住民やさまざまな市民運動との連帯共闘を追求します。
  5. 反差別共同闘争を強め、アイヌ民族、在日韓国・朝鮮人や定住・滞日外国人、障害者、女性HIV患者、ハンセン病回復者、ホームレスの人々などと連帯し、人権政策の確立を目指します。

ページトップへ

【八】男女平等社会実現に向けた変革を進めよう

歴史的文化的慣習や慣行、制度(戸籍制度・「イエ」意識・女人禁制)と性別役割分業論(男は仕事、女は家事・育児と介護)、育児制度の形骸化によって、とりわけ女性が能力・個性を活かすチャンスを奪われてきました。これからは、すべての人が自分で選択決定した人生を生き、そのために相手の人権も大切にする視点を運動のなかに位置づけていきます。

たんに男女平等というだけでなく、人を差別しない、性差別のない、ともに助け合っていくという「女性差別撤廃条約」の理念を具体化することが重要であり、これがジェンダー(社会的につくられた性差)の視点です。組織内でも、あらゆる分野での女性の参画推進に向けた体制づくりが重要です。

とりわけ、意志決定機関への女性の参画拡大をはかるためにも、女性自身が力量をつけ、女性の人材育成にも力点をおいた組織運営上の条件整備をはかることが重要です。

  1. 会議・集会などの開催日程については、女性が参加しやすくなるよう検討するとともに、会議・集会での託児の設置を検討します。
  2. 女性が運動のなかで積極的な役割を果たせるように、会議などで継続して女性差別・ジェンダーなどの学習会を企画します。
  3. 部落の女性の置かれている現状や実態把握につとめます。

ページトップへ

【九】生活・労働・福祉運動の闘い

私たちの福祉運動は、部落の実態をもとにした部落解放への展望を柱に、福祉を一般的に捉えるのではなく、「差別と貧困が結びついた」福祉の課題として位置づけ、生活を守る闘いとして展開するものです。

特に地域を拠点とした24時間の福祉体制を創りあげなければなりません。そのためにも、部落を中心に周辺地域も含めた福祉の総合施策の確立と世話役活動(ボランティア)の推進を基盤に、住民運動を推進していく必要があります。そのために「人権のまちづくり」運動の拠点として、隣保館の役割は重要です。

  1. 県内の隣保館を訪問し、館運営のあり方や地域の現状などについて協議をおこない、地域社会での人権行政の役割を担いきる隣保館になるように求めていきます。
  2. 隣保館の基本事業である、「調査・研究事業」を活用し、部落の生活・福祉・教育などの実態把握に努めるように求めていきます。
  3. 「年金」「生活保護」「保険と医療(後期高齢者医療制度)」など、今日の「生活と福祉」にかかわる状況は、部落をさらに困難な状況に追い込んでいます。このことを十分に踏まえ、本部方針「社会的セーフティネット構想」の提起を基礎に、学習と議論を深めます。

ページトップへ


お問い合せ/連絡先
部落解放同盟山口県連合会 〒753-0814 山口市吉敷下東2-4-7
TEL 083-923-2303 FAX 083-921-1919 E-mail info@y-kaihou.jp