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年頭のごあいさつ

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 新年あけましておめでとうございます。昨年も多くのみなさま方には大変お世話になりました。深く感謝申し上げます。

21世紀は、平和と人権の世紀と言われていました。しかし、昨年2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻しました。まもなく1年が経過しようとしています。毎日流れるニュースでは、生命を奪われた人々の姿、破壊された町並みなどが映し出されています。本当に胸が痛みます。また、ロシア軍に動員された人々の苦しみにも思いをはせたいと思います。国際社会がロシアの行動を非難し、即時停戦を訴えていますがロシアの軍事侵攻は今も続いています。ウクライナ国内では戦闘が続き、多くの人々の生命とくらしが奪われ続けています。部落解放の父と呼ばれた松本治一郎さんは、「戦争は最大の差別、最大の人権侵害である」と言われました。本当にその通りだと思います。今こそ私たちは、全ての戦争に反対し平和を願う行動を続けていきたいと思います。

さて、本年は山口県水平社創立100年を迎える節目の年となります。

1922年の全国水平社創立大会には、山口県からは偶然着物の仕入れで京都を訪れていた3名の呉服商と京都の大学生1名の合わせて4名の参加が確認されています。この人たちが中心となり、翌年、1923年5月10日、小郡の信光寺において山口県水平社が創立されました。

「人の世に熱あれ人間に光あれ」の言葉で有名な水平社宣言です。宣言文の中には、自由と平等の渇仰者でもあり実行者であった先人たちの願いや思いがしっかりと込められています。水平社がめざした社会とは、全ての人間がお互いを尊敬すべきものと考え、お互いの個性を認め合う社会であったと思います。部落差別は差別される側の人間の問題ではありません。差別する側の人間の問題なのだということを改めて確認したいと思います。

「部落差別解消推進法」、「障害者差別解消法」、「ヘイトスピーチ解消法」の人権三法が施行されて6年が経過しました。2019年には、アイヌ新法が制定されました。いわゆる人権に関する法律が次々と作られています。しかしながら「特措法」失効後、人権行政・人権教育という名のもとに、実際には部落問題解決の取り組みが大きく後退してきました。学校人権教育、市民啓発でも正しく部落問題を取り上げる場が激減した一方、情報化社会が到来し、無法地帯化したインターネットを悪用した部落差別が深刻化した状況になっています。

鳥取ループ・示現舎らの「部落探訪」は続き、2018年からネット上に部落と部落出身者がさらし続けられてきました。しかし、ようやく昨年11月末、市民や行政のモニタリング、法務省による削除要請や28000人を超えるオンライン署名などにより動画190本が「ユーチューブ」より削除されました。類似の動画はまだ削除されておらず、今後も削除要請を続けていきたいと考えています。

「全国部落調査」復刻版裁判は一昨年9月に東京地裁の判決が下され原告勝訴となりましが、山口県の被害は認定されず、県内の部落の一覧リストは出版差し止め・ネット掲載削除の対象外とされました。この判決を断じて許すことは出来ません。第2審での完全勝訴に向けて引き続き、取り組んでいきます。

本年も山口県連が一丸となって部落解放に向けて運動を進めていきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

部落解放同盟山口県連合会 執行委員長 松本卓也