「取れない情報はない」~闇の個人情報ビジネス~
今回の一連のプライム事件では、戸籍・住民票だけでなく、同様の手口で、職歴情報、携帯情報、車両情報、住基情報(住所、離婚歴、所得等)、信用情報(借金情報)、電力契約者情報なども売買されていた。すべてに情報屋が関与しており、恐るべき闇の個人情報不正売買ビジネスの実態が浮き彫りになった
■信用情報(借金)
プライム社代表と横浜の探偵社は、戸籍以外に、東京の貸金業者を通じて日本信用情報機構から全国2200件の借金状況(クレジットやローン内容や残高、返済状況等)を違法入手していた。
また、プライム事件とは別に昨年4月、東京の貸金業者と探偵社ら11人が次々と逮捕された。不正取得された信用情報は企業の採用調査に利用されていた。
■職歴情報
(ハローワーク職員)
プライム事件に関連して、昨年6月、3000件を超える職歴情報の漏洩で、ハローワーク横浜の職員と神奈川県内の興信所代表が逮捕された。
ハローワーク横浜の非常勤職員が、職安の端末から1件1万円で職歴情報を神奈川の興信所に提供し、興信所が名古屋の情報屋に売買していた。
■携帯の顧客情報(ソフトバンク、ドコモ、au)
昨年6月、岡山のソフトバンク店長と広島の探偵社社長が逮捕された。1200件もの携帯電話の顧客情報が売買されていた。
その後も、香川と広島のソフトバンク(133件)、ドコモ・東京立川支店(880件)、au千葉・船橋代理店(50件)の店員が次々と逮捕された。
■車両情報(長野県警察官、運輸局職員)
長野県警の巡査部長2名、県警OBの探偵社社長が昨年7月に、車両情報漏洩で逮捕された。
車両情報は情報屋に1件1万3000円で売られ、探偵社は約6000万円の利益を得ていた。
さらに、国土交通省関東運輸局職員と大阪の探偵社も車両情報漏洩で逮捕された。逮捕された関東運輸局の非常勤職員は、1件1万2000円で大阪の探偵社へ売買されており、11年だけで300件以上の漏洩をおこなっていた。
情報屋は長野県警ルートと運輸局ルートを通じて、全国の車両ナンバーから所有者情報を不正入手していた。
■住基情報 (千葉・船橋市職員)
昨年10月、住基情報漏洩で千葉県船橋市職員と千葉の探偵社が逮捕された。逮捕された船橋市職員は、市民税課の非常勤職員であり、職場の端末を使い、依頼者の氏名、生年月日、住所、転居歴、家族構成、勤務先、年収、離婚歴などを調べ、千葉県の探偵社に1件、数千円から数万円で売っていた。
■電力顧客情報 (関西電力子会社)
電力会社の顧客情報(氏名、使用場所、振込口座など)が売買されていたとして、昨年11月、関西電力コールセンターの契約社員と大阪の探偵社代表が逮捕された。逮捕された探偵社も、情報屋に顧客情報を売買していた。
関西電力は、近畿全域をカバーしており契約数は約1351万件である。逮捕された契約社員は、全ての顧客情報にアクセスできる権限を持っていた。