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市町は窓口チェックの強化を!~家系図作成や非弁行為にあたる請求でも戸籍交付~

◆非弁行為にあたる請求事由
今回の群馬ルートで開示された大沼源・谷口信寿行政書士の職務上請求書(全102枚)の請求事由(業務の種類)の中に、「債権保全措置業務」(12枚)、「慰謝料請求業務」(11枚)、「損害賠償請求業務」(5枚)、「家系図作成業務」(9枚)などが計37枚もあった。
「債権保全措置」「慰謝料請求」「損害賠償請求」の業務は、弁護士業務にあたり、行政に提出する書類作成が業務である行政書士はおこなえない。弁護士でない者がおこなえば弁護士法違反の「非弁行為」として処罰される。
◆家系図作成は業務ではない
また、最高裁において、家系図作成は行政書士の業務ではないとの判決が出され(10年12月20日、行政書士法違反被告事件・最高裁判決)、この最高裁判決を受けて、11年1月13日、日本行政書士会連合会は、家系図作成業務は「事実証明文章(官公署に提出する書類)には該当せず、行政書士業務ではない」「職務上請求書を使用して戸籍謄本等を請求することはできない」との見解を示している。
◆「あり得ない」書き方
山口県行政書士会によると、行政書士は、本人に代わり慰謝料請求などの通告書(内容証明)の作成をすることは可能である。 しかし、紛争性がある場合、紛争解決に関わる指示や代行を少しでもおこなえば違法になる。仮に通告書(内容証明)の作成業務だけをやったとしても、職務上請求書の「業務の種類」に非弁行為として受け取られる「債権保全」「慰謝料請求」などと書くことは、まず「あり得ない」とのこと。
◆「請求書」は回収・チェック
県行政書士会は、不正防止のために職務上請求書は使用後、すべての写しを提出してもらい、不正がないかチェックしている。
県内の行政書士会の会員で同様の書き方をしている人はいないと答えた。仮に、同様の記載があった場合は「指導をする」と答えた。
今回は、偽造請求書の使用であったため、使用後に行政書士会へ控えを提出し、チェックされることがなかったので、このような書き方を続けられていたと思われる。
◆不正を見抜けず戸籍を発行
今回、県内の不正請求の4割が、家系図作成や非弁行為と思われる請求内容であった。にも関わらず、市町の窓口では、戸籍・住民票を交付していた。
窓口担当者の職員研修がしっかりと出来ていれば、当該行政書士会に問い合わせるなどして、発行を拒否したり、もっと早く摘発出来ていた。
今後、市町の窓口は、各8士業が請求できる内容を認識し、窓口での不正のチェック機能を強化する研修を実施していくことが必要である。