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「全国部落調査」復刻版裁判 第2回口頭弁論 

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鳥取ループ・示現舎による「全国部落調査・復刻版」出版事件の第2回口頭弁論がおこなわれた。

被告の宮部らは部落出身という「身分は法律上ない。定義もなく、そもそも原告適格がない」「部落史や出版物でも、すでに地名は掲載れているから、自分たちの行為も問題ない」「表現の自由」だと出張。

今回は、宮部らの主張に対して、弁護団からの反論がおこなわれた。

口頭弁論の後、報告集会が日比谷図書館で開かれた。次回、第3回口頭弁論は12月12日午後2時より東京地裁で、原告、被告双方からの陳述がおこなわれる。

【第2回口頭弁論】
「全国部落調査・復刻版」出版事件で、宮部龍彦・三品純を相手どった裁判の第2回口頭弁論が9月26日、東京地裁で開かれた。原告は第3次まで追加され、最終的に248名となった。

第2回口頭弁論は、被告・宮部らの主張に対する原告・解放同盟の反論であった。

【定義がないから、権利侵害もない?】
宮部らは今回の裁判は、そもそも原告としての資格(原告適格)がないと主張する。

「被差別部落出身という身分は法律上存在していないし、また社会学的にも学術的にも定義が定まっていない」、だから、原告が「被差別部落出身者であることはあり得ない」=「原告適格に欠く」と。つまり、「定義なければ権利侵害なし」という勝手な主張を展開。

河村弁護士は「法律で定義がないから、差別はない。権利侵害は発生しない」などという主張は、法律論として、まったくの誤りであることを指摘。黒人差別や障碍者差別を例に説明し、「原告適格」の正当性を主張した。

弁護団からは、「今回の訴訟は『被差別部落』等の定義をめぐって議論する場ではない。被告らがおこなった部落出身という『個人情報を晒す』『同和地区の所在地情報をネットや書籍で公開する』という悪質極りない行為の違法性を問う場である」として、「定義なければ権利侵害なし」という主張に反論した。

【差別されたら、自分でなんとかしろ!】

宮部らは、準備書面で「ヤフー知恵袋」などで『全国部落調査・復刻版』の情報をもとに、恋愛や結婚相手の身元調査、不動産取引での土地差別調査に利用されている現状について、「そこでのやりとりが気に入らなければ、原告自らが質問・回答すればよいのである」と主張。

部落・部落出身者のリストをネット上に公開し、差別や人権侵害の被害があれば、自分でなんとかしろという。自らの行為によって、他人の人権を侵害しておきながら、その権利回復は、被害者がやれと主張する。

そのような被告らの主張・態度に対して、河村弁護士は「全く許されない」と厳しく指弾した。