あいつぐ戸籍謄本等不正所得
被害者は未だ知らされていない
県内でも20枚以上
行政書士などによる「職務上請求用紙」の悪用や興信所等の委任状偽造による戸籍謄本等の不正取得が後を絶たない。04年兵庫県の行政書士が「職務上請求書」を使い、全国の市町村から戸籍謄本等3000枚以上も不正取得していたことが発覚した。これらの戸籍謄本等は興信所に1枚3000円などで売られ、結婚や就職などの身元調査に利用されていた。この行政書士により、県内でも防府市、周南市、岩国市、山陽小野田市、周防大島町においても不正取得が発覚している。07年も三重県の行政書士が横浜の興信所の依頼を受け、全国から511枚の職務上請求書を使い、戸籍謄本等を不正取得していたことが発覚。県内でも宇部市、岩国市、柳井市で計10件も発覚している。その後の県連の調査により、県内の10件、全てが興信所の結婚調査に利用されたいたことが明らかになった。08年5月には、神戸市の司法書士が職務上請求書を不正使用し、全国で847件が発覚している。県内でも下関市、山口市、下松市で確認されており、現在、県連が情報開示請求をおこない、他の市町も調査中であり、被害はさらに拡大すると思われる。
被害者には知らされていない
この数年だけでも、山口県内で兵庫県の神戸市、宝塚市、三重県松阪市の行政書士、司法書士などにより20件近くは不正取得されている事実がある。しかも、その多くが調査会社に横流しされ、結婚などでの差別身元調査に利用されているのである。各市町の行政は不正取得されたという事実を知っているにも関わらず、被害者にはその事実を未だに知らせていない。
市民の人権を守るのか最後は市町の判断
他県では早くからあいつぐ不正取得の再発防止に向けて、積極的に動いてきた。広島県では福山市、三原市、竹原市、呉市、大崎上島町などが「自己情報コントロール権」にもとづき、不正取得された本人に告知をおこなっている。和歌山県の和歌山市や紀ノ川市、東京都の墨田区、足立区、大田区、港区、目黒区、葛飾区などでもすでに不正取得された被害者へ「本人告知」を実施している。府県レベルでも「本人通知」に関して今後実施が決定しているころもある。京都府は「本人通知は必要」という見解を示し、国に対しても法整備を強く要請し、市町村との連絡調整会議で協議し、試案作成に動いているところである。大阪府は、事前登録者への本人通知制度が実施できるように市町と協議・調整に務めている。県内20市町の首長は、今も市民のプライバシーが不正に取得され続け、差別身元調査に利用されている現実を直視し、「自己情報コントロール権」にもとづき、「本人通知」制度を導入する必要がある。少なくとも、県内ですでに発覚している20件におよぶ被害者には早急に本人告知する必要がある。今後、山口県連は、不正取得され市町に対して被害者への本人告知と、再発防止に向けて全力で取り組んでいく。