第33回山口同宗連研修会 角岡伸彦さんが講演
第33回山口同宗連研修会が浄土真宗本願寺派山口別院で開催され120名が参加した。研修会ではフリーライターの角岡伸彦さんの講演の後、立正佼成会と真宗本願寺派の教団の取り組みが報告された。
はじめに川端勝教・山口同宗連議長からの主催者あいさつで、6月17日から山口市で開催される「第45回部落解放・人権西日本夏期講座」を山口同宗連の研修として位置づけ、積極的な参加が呼びかけられた。続いて記念講演では、フリーライターの角岡伸彦さんより「これからの部落問題」と題した講演がおこなわれた。
角岡さんからは①「情報化社会」、②どんな社会をめざすのか、③これからの部落問題、の3点から差別の現実と課題が語られた。
※講演概要の一部
1「情報化社会と差別」
①グーグルマップ
情報化社会が部落差別を悪化させている。グーグルマップを悪用し、部落の地図が作成され、大阪市内の全12カ所の同和地区が掲載されている事例が紹介された。地図は同和地区の住所までが読み取れる状況である。
②ヤフー知恵袋
ヤフー知恵袋では、中学生が部落問題について質問している内容に、偏見や差別意識を助長していくコメントがベストアンサーになっている。学生がネットを通して部落に対する誤った認識や偏見を助長されている現実がある。
③同和地区wiki
鳥取ループが作成した「同和地区WIKI」には全国の5300カ所以上の被差別部落の一覧リストがネット上で公開されている。
ウィキペディア方式で作成され、誰もが編集できるために、各地域の詳細な情報が次々と更新され、情報量が増えている。
「差別しにくい社会へ」
情報化社会における部落差別は「差別しやすい社会」になっている。だから「差別しにくい社会」にしなければいけない。
ネット上に誤った部落に対する情報があふれていることで、本当の情報が見えにくくなっている。
ネット上では部落を「隠せない」社会になっている。部落問題を解決するためには部落の人たちが「隠さない」ということも大事になってくる。「隠せない」と「隠さない」は主語が違う。部落出身というコンプレックスを持たされていく。そんな自分から解放されていくことが大事である。
2「どんな社会をめざすのか」
差別とは共同体からの排除である。共同体とは、家族や地域、教団などでルールが必要。門信徒さんに部落出身の人もいる。
差別を許さない、「差別させない社会」にするために「共同体のルール」を作っていくことが大事になってくる。
3「これからの部落問題」
兄の娘の成人式のために「二十歳になる君へ」と題した記事をブログに書いた。
兄は結婚差別を受けて破談になった。その後に出会って結婚したのが今のパートナーである。姪に対する自分の思いを届けた。
姪っ子は部落外で生まれ育った。「君は部落出身でないかもしれないが、部落に関係ないことはない。部落関係者である。
現在、血縁的に部落とつながる人は減っている。部落同士の結婚は少ない。逆に部落外の人との結婚は増えている。部落関係者は増えている。いろんな関係者になって欲しい。部落問題以外にも関心を持ってほしい。他の差別問題についても関心を持ってほしい。関係者になってほしい。地縁血縁だけはないから。障害者や在日コリアンなど、いろんな関係者になって欲しい。いろんな関係者になることで、自分が豊かになっていくから。