県同教大会 部落問題学習の教材化を!
第34回山口県人権・同和教育研究集会が8月9日、山口市小郡地域交流センターで開催され学校の教職員や社会教育関係者ら200名が参加し、同和教育や人権教育についての学習と実践交流を深めた。
開会行事では県同教の髙林公男委員長が挨拶し「部落差別解消推進法」にもとづき、学校での部落問題学習、人権教育に教育委員会や現場が本気になって取り組んでいこうと呼びかけた。来賓として解放同盟山口県連の藤本謙吾執行委員長、全日本同和会山口県連合の澤田行正之会長、山口県平和運動フォーラム議長の枡本康仁・自治労県本部委員長がかけつけた。
全体講演では(一社)山口県人権啓発センターの川口泰司事務局長より「ネット社会と人権教育~部落差別解消推進施行から3年の課題~」と題した講演がおこなわれた。午後からは2会場で4本のレポート報告がおこなわれた。
萩商工高校の高林公男先生からは「栗山孝庵と被差別民衆」と題し、江戸時代に日本で初めて女性の腑分けをおこなった萩の被差別民と医師の栗山孝庵について、学校現場で教材化していくための概要等が報告された。
宇部市立東岐波小学校の桂眞理子先生からは「歴史学習の中に地域教材を」と題して、小学校6年生における社会科の授業における部落史学習の実践が報告された。江戸時代の「解体新書」、杉田玄白・前野良沢らの腑分けの学習の際、地元・山口県の地域教材として栗山孝庵の被差別民の活躍を紹介した授業実践。明治維新・解放令の学習時に幕長戦争において被差別部落の人たちで結成された「維新団」が大活躍した事例、全国水平社の授業において山口県水平社の新聞記事や写真等を使用した実践などが報告された。
宇部市立厚南中学校の堀宏治先生からは「教科書無償化運動の歴史」と題して、人権教育参観日の授業において、戦後、差別と貧困のなか苦しんできた高知の被差別部落の人たちが小中学校の教科書無償化闘争を展開。それが全国にひろがり1963年に無償措置法が制定、1969年に全国の小中学校の教科書が無償配布されるようになった。教育権の保障と人権獲得の歴史から学ぶ授業実践が報告された。
広島県家庭相談員連絡協議会の香道清則さんからは「福祉の力が及ばなかった」と題して、全国の市町村の福祉事務所単体で設定されている「家庭児童相談室」への具体的な事例から子どもたちの虐待、貧困、支援、相談の現実が報告された。報告を受け参加者からは子どもや教育現場の実態を踏まえた質疑がおこなわれた。