新たな「部落地名総鑑」差別事件~出版阻止・削除要請の取り組み~
鳥取ループ・示現舎が2月に「復刻版・全国部落調査」の発刊予約をはじめてからこの間、解放同盟山口県連は、2月25日に山口県、3月22日に山口労働局・山口地方法務局に対して、発刊中止とインターネット上での同和地区一覧リスト掲載の削除を求める取り組みをおこなってきた。
▆出版禁止の仮処分が決定
3月28日、横浜地裁は部落解放同盟中央本部の出版禁止の仮処分申立を「相当」と認め、出版及び販売を禁止する仮処分決定を行った。
▆東京法務局も人権侵犯事件として認定し、説示
3月29日、東京法務局は今回の問題を人権侵犯事件として認定し、宮部龍彦に対して「前記各行為(インターネットへの掲載)は、あなたが同和地区であるとして摘示した特定地域の出身者、住民等に対して当該属性を理由として不当な差別的取り扱いをすることを助長し、又は誘発するものと認められ、人権擁護上、到底看過することは出来ない」と指摘した上で、「不当性を強く認識して反省し、直ちに前記各行為を中止した上、今後、同様の行為を行わないよう」に説示した。
▆サイトでの掲載の禁止の仮処分も決定
しかし、宮部龍彦は、「説示」後もサイトでの掲載を中止せず、解放同盟中央本部は4月4日に削除を求める仮処分を申し立てた。横浜地裁は4月18日、削除を命じる仮処分決定を出し、出版や放送などでの一切の発表も禁じた。
▆解放同盟員211人の集団訴訟
鳥取ループ・示現舎に対して中央本部の組坂委員長をはじめ、全国の同盟員ら211人が原告として4月19日、一人あたり110万円、計2億3000万円の損害賠償請求を求める訴訟を東京地裁に起こした。
中央本部では、鳥取ループ・示現舎に対する法的措置とともに、こうした悪質な行為を立法事実として部落差別を禁止・規制する法制度の確立を求めていく。