2015年度県交渉 ~奨学金制度の充実、就職差別撤廃、土地差別事象への対応~
解放同盟山口県連は2月15日、山口県庁において、2015年度の県交渉をおこなった。
県交渉では、人権条例の制定、県民意識調査の実施、土地差別問題、人権教育・啓発、就職差別撤廃・企業啓発、隣保館、職員研修、本人通知制度など9つの基本要求についての回答を求めた。
◆奨学金制度の充実~保証人2名 条件緩和~
現在、山口県ひとづくり財団「奨学センター」の高校・大学等の奨学金の保証人は2名(別世帯、60歳以下、有職者)が条件である。1人親家庭や生活困窮家庭の子どもたちが保証人2名を確保出来ず、奨学金・進学を断念している事実があり、保証人を1名にするなど条件を緩和することを強く求めた。保証人条件の緩和について、県は奨学センターと「見直しに関わる協議をしていく」と回答した。
◆就職差別撤廃・企業啓発の充実
①2014年度県教委が把握した「就職差別につながる違反質問」は25件あった。
②違反事業者の指導
この間、毎年、県内の高校受験報告書では、20~30件の違反質問が報告されているが、県教委から山口労働局への指導要請はゼロであった。その結果、山口労働局もこの間、違反事業所への指導はゼロであった。
県教委は違反質問であることを把握しながらも、「保護者の了解がとれなかった」等の言い訳をして、労働局に指導依頼をしていないことは、「職業安定法第5条4項」を県教委が無視することであると、県教委の姿勢を厳しく追及した。
その結果、今後、違反質問を認知した場合は、全ての事象について労働局に報告し、違反事業者への指導についても、「当該生徒や保護者の意向に配慮しながら、適切な指導が行われるように労働局に要請してまいりたい」と回答。
③企業啓発の充実
「公正採用選考人権啓発推進委員」に対する企業啓発の取組みの充実を求めた。
今年度、山口労働局は、県内の「公正採用推進員」設置条件を従業員100以上から30人以上の事業所に変更した。
市町の人権担当課と地元ハローワークが連携し、企業啓発の充実に向けて、これらを積極的に活用した取組みを求めた。
◆違法な身元調査の根絶に向けて
①登録型「本人通知」制度の登録期間の撤廃について
山口市など登録期間を廃止した自治体について県は「再登録手続が不要となることによる登録者の負担軽減や住民の不注意による再登録漏れの防止に繋がり、住民の利便性向上や利益保護に資する取組と考える」との見解を示した。
今後、「市町の主体的な検討に資するように、登録期限の撤廃状況など適切な情報提供等に努めてまいる」と回答した。
②「被害告知」制度について
県内で被害告知制度を導入していないのは、周防大島町、美祢市(導入予定)・山陽小野田市(導入予定)の3市町のみ。県内全19市町で導入できるように強く求めた。
③昨年発覚した、東京都のT司法書士による戸籍等不正取得事件では全国で526件の被害が発覚。県内では、下関市での被害が明らかになった