同和教育を基軸とした人権教育の創造~山口県人権・同和教育研究集会~
第28回山口県人権・同和教育研究集会が8月9日(木)、山口市小郡地域交流センターにおいて開催され、県同教会員・教職員、行政、企業、運動団体など150名が参加し、人権・同和教育の実践を交流し、熱心な討論と学習を深めた。
開会行事では、山口県同教の高林公男委員長より、主催者を代表してあいさつがおこなわれた。
高林委員長は、「人権教育という名のもとに、部落問題学習がおこなわれていない」現状を強く指摘し、同和教育を基軸とした人権教育の創造を呼びかけた。
続いて、解放同盟山口県連の藤本謙吾委員長が来賓あいさつ。藤本委員長は、県内の人権教育推進状況調査結果から、同和問題だけが他の課題に比べて、半数以下の実施状況であることを指摘し、学校教育での部落問題学習の充実を訴えた。
開会行事のあと、「誰もが生まれてきよかったと思える社会をめざして」と題して、解放同盟福岡市協・あすなろ解放学級元代表の野上早苗さんより、記念講演がおこなわれた。
野上さんは、2度の結婚差別を受ける。3度目の結婚を機に部落外に住み、出身を隠し生きてきた。しかし、どこに行っても、部落差別は突然襲いかかってくる。子どもが生まれ、地元に戻り、あすなろ識字学級に通う母から「自分がふるさを誇りに思えずに、わが子が誇りに思うはずがない」と言われ、あすなろ学級に通うようになる。あすなろ識字学級では、先輩たちの生い立ち、部落の歴史などを学習していく中で、自分のふるさとを誇りに思えるようになった。
午後からは二つの分科会に分かれて実践報告が行われた。学校教育分科会では、宇部市立神原小学校の桂眞理子さんより「ひらがな日記を教材化して」と題した実践報告が行われた。宇部市立藤山小学校の相澤昭乃さんからは「色ってイロいろ」と題した実践が報告された。
社会教育分科会では、福島の子どもたちとつながる宇部の会代表の木下文雄さんより「福島の子どもたちとつながって」と題した実践が報告された。 長生炭坑の”水非常”を歴史に刻む会副代表の内岡貞雄さんからは「朝鮮炭坑と言われた長生炭坑は今」と題した実践報告がおこなわれた。
(解放新聞山口版 2012年8月号より)