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東京・司法書士による 戸籍謄本等不正取得事件

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愛知県警捜査員などの戸籍謄本等を不正取得したとして11月11日、東京都内の司法書士、元弁護士、探偵会社・代表らの5人が逮捕された。報道によれば、逮捕された5人は「職務上請求書」を2万枚偽造し、全国各地の自治体から1万件以上もの不正取得を行っていた。

山口県内でも佐藤隆・司法書士の名義で偽造された職務上請求書が、すでに下関市や山口市など9市で55枚が確認され、戸籍や住民票が合計78件交付されている。今後、山口県連としても事件の真相究明に取り組むとともに、次年度中に県内全市町での「本人告知」「本人通知」制度の導入に向けて全力で取り組んで行く。

■県内でも9市で79件

解放同盟山口県連が県内全市町へ開示請求をおこなった結果、佐藤隆・司法書士名義の「職務上請求書」が、下関市16枚(24件)、山口市10枚11件)、防府市7枚(12件)、岩国市7枚(12件)、萩市6枚(6件)、周南市4枚(5件)、光市3枚(6件)、長門市1枚(2件)、県内9市55枚確認され、戸籍・住民票は合計78件交付されたいたことが明らかになった。

被害が明らかになった自治体は、被害者への本人告知をおこなう必要がある。しかし、被害者への本人告知制度を導入しているのは現在、宇部市、岩国市、周南市の3市である。今後、早急に被害者への本人告知制度を導入し、市として被害の状況把握、今後の対応などを検討していく必要がある。

■2万枚の偽造請求書 組織的ルートが確立

各地の探偵事務所などに寄せられた戸籍の入手依頼は、ガルエージェンシー東名横浜(探偵社)代表・粟野貞和が集約し、プライム総合法務事務所(奈須、佐藤・司法書士)に持ち込み、偽造した2万枚の職務上請求書を使い、全国の自治体から戸籍謄本等を不正取得していたと報道されている。

ガルエージェンシー東名横浜の粟野代表は、2007年三重県の行政書士による戸籍等不正取得事件で、行政書士に戸籍の入手依頼をしていたプライベートリサーチ社(横浜市)の代表であった。

前回の事件でガル社・粟野代表は「斡旋者は別にいる」「調査の半数は結婚相手の身元調査」と証言していた。当時、山口県内でも、宇部市7件、岩国市2件、柳井市1件で被害を受け、県内の10件すべてが結婚相手の身元調査のために利用されていた。

■次年度通に県内15市町が「本人通知」制度の導入を決定

今回の事件でも明らかなように、有資格者などによる戸籍謄本等の不正取得は後を絶たない。職務上請求書では、窓口で不正かどうかは判断できない。また、自分の戸籍や住民票が第3者によって不正に取得されても、本人は気づくことすらできない。だから「本人通知」制度が必要なのである。

この間、解放同盟山口県連は、県内全19市町に対して登録型「本人通知」制度導入の要請行動を展開してきた。その結果、すでに山陽小野田市、宇部市において登録型本人通知制度が導入されている。

2012年度以降に山口市、萩市、長門市、美祢市、防府市、周南市、柳井市、光市、岩国市、下松市、周防大島町、田布施町、平生町、上関町、和木町などの15市町で導入が予定されている。

今後、実施時期を明確にしていない2市町に対して、今回の事件を踏まえ、再度、不正取得防止に向けて登録型「本人通知制度」導入の要請行動をおこない、次年度中に県内全市町での実施を目指す。