トップページ>解放新聞 山口県版

登録型「本人通知制度」を導入 〜宇部市も7月から実施〜

解放新聞山口版 第57号 2011年3月31日

宇部市が今年7月から、登録型「本人通知制度」を実施することを決定した。登録型「本人通知制度」の実施は、山陽小野田市に続いて県内で2番目になる。今後、県内すべての市町で導入に向けた行動を展開していく。

この間、解放同盟宇部支部は戸籍の不正取得事件の被害者への本人告知、登録型「本人通知制度」の実施に向けて、宇部市と3年におよぶ交渉を続けてきた。

その結果、不正取得が明らかになった場合の被害者への本人告知は2010年4月より実施された。その後、登録型「本人通知制度」の導入についても協議を重ね、ようやく今年7月から実施することが決定した。

2007年に発覚した三重県の行政書士による戸籍謄本等不正取得事件では、宇部市から7件もの不正取得がおこなわれ、その戸籍謄本等が横浜の調査会社に売買されていた。

宇部市での7件はすべて、調査会社(興信所)の結婚調査に利用されていた。

県内でも不正取得が

行政書士等による職務上請求用紙の悪用や興信所等の委任状偽造による戸籍謄本等の不正取得が後を絶たない。

2005年兵庫県の行政書士が興信所と結託し「職務上請求書」を使って、住民票や戸籍謄本等を3年間で1100枚を不正取得していた。それらを興信所に横流し、一枚3000円の報酬を受け取っていた。大阪の行政書士も1860枚を不正取得していたことがわかった。

これらの戸籍謄本などをもとに、興信所が部落地名総鑑と照合し、結婚調査や就職における部落差別を行っていた。この行政書士たちにより、山口県内でも防府市、周南市などにおいても不正取得が発覚している。

2008年神戸市の司法書士による不正取得では、宇部市、下関市、山口市、下松市、岩国市、長門市、山陽小野田市、周防大島町でも不正取得が発覚している。

全市町での実施をめざす

三重、兵庫、神戸市の不正取得事件以外にも、発覚していない同様のケースは多くあると思われる。

第3者が自分の戸籍などを勝手に取得しても、現状では本人は気づけない状況であるからだ。

登録型「本人通知制度」を導入すれば、戸籍や住民票などが第3者に取得された場合は、登録した本人に通知がいくので、確実に不正取得が発覚できる。不正取得した本人を知りたい場合は、情報開示請求を行い、個人名までは開示されない場合もあるが、ある一定の情報は明らかにできる。

何より、宇部市で登録型「本人通知制度」を導入することで、委任状偽造、不正取得防止などへの大きな抑止力にもつながる。

県連としては、今年中に県内すべての市町で導入されるように、引き続き、県内全市町や関係機関に要請行動を行っていく。