山口県同教 同和教育は事実と実践から 〜宇部市で県同教の研究集会〜
解放新聞山口版 第52号 2010年8月31日
第26回山口県人権・同和教育研究集会が、8月9日(月)宇部市総合福祉会館において開催され、県同教会員・学校関係者、企業・行政・運動団体・市民など150名が参加し、人権・同和教育の実践を交流し、熱い討議と学習を深めた。
開会行事では高林公男・山口県同教委員長が主催者を代表してあいさつ。
高林委員長は、県内の人権・同和教育の現状に対して「同和教育が溶解している」と強く指摘し、就職における違反質問の具体的な事例を取り上げて、学校や企業における就職差別撤廃に向けた取り組みに力を入れる必要性を訴えた。
続いて、全日本同和会山口県連合の石川幸人会長、部落解放同盟山口県連の松岡広昭委員長、香渡清則・広同教事務局長から激励のメッセージが送られた。
開会行事のあと、「好感・共感・親近感で育む人権力」と題して、大阪府貝塚市立西小学校の明石一朗さんの記念講演がおこなわれた。(詳細2面)午後からは学校教育・社会教育の2つの分科会に分かれ、レポート報告、協議がされた。
学校教育分科会では、「子ども自身の願いを大切にしたかかわりあい」「友達を一人ぼっちにさせないために」と題して、宇部市内の小羽山小学校、厚南小学校から2つの実践が報告された。宇部市立小羽山小の大森紀世子さんは、子ども自身の「今の自分を変えたい」という気持ちを引き出し、「きっと変われるよ」「一緒にがんばろう」というメッセージを送り続けた。
子どもたちの思いをしっかり聞いて受けとめる関わりの大切さが報告された。宇部市立厚南小の旧5学年集団からは、学年集団としての取り組みが報告された。もたれ合い、排他的な子どもたちの関係をどうにかしようと、授業や、学年解体の横わり掃除、運動会の取り組みなどを通して仲間づくりをした。
同学年教職員の思いが子どもたちを変えていく報告だった。社会教育分科会では、「地域としてのセルプ藤山~ともに生きる~」と題して、セルプ藤山の齋藤航也さん、「ともに働く」と題して、リベルタス興産の有田伸二郎社長からの報告がおこなわれた。
齋藤さんが勤務するセルプ藤山では、身体・知的・精神の障がいがある当事者が40名近く働いており、工業用ウエスの製造、販売をおこなっている。
障がい者ならではの「特技」を活かす働き方、一般企業と障がい者雇用の調整役としてのジョブコーチの重要性などが報告された。リベルタス興産の有田さんはからは、障がい者雇用の実践が報告された。
リベルタス興産は、宇部興産の特例子会社で、現在42名の社員が働いている。特に障がい者が仕事をする上で大事にしている視点は「一人前」じゃないからダメではない。お互いが足りないところを補いあってペアで仕事をする。「二人で二人前」の実践が報告された。