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宇部市が「本人通知制度」を実施 〜戸籍の不正取得の被害者に対して〜

解放新聞山口版 第48号 2010年4月30日

身元調査は許さない

宇部市は4月1日より、戸籍や住民票などを不正取得された被害者に対して本人通知を実施することになった。すでに発覚している被害者に対しても、現行の「要領」に準じて、「本人通知」を実施してく。県内では被害者に対する本人通知は初めてで、他の市町での実施に向けた広がりに期待する。宇部支部、今後、不正取得の防止に向けた「登録型本人通知制度」の導入に向けても取り組んでいく。

ここ数年、各地の行政書士・司法書士による戸籍謄本などの不正請求が県内各地の市町で20件以上も発覚している。これら不正取得された戸籍などの多くが、興信所などへ横流しされ、結婚などにおける差別身元調査に利用されていた。

宇部市においても、06年、三重県の行政書士により、戸籍謄本等が7件も不正請求されており、そのすべてが横浜の調査会社の結婚調査に利用されていた。

翌年07年には、神戸市の司法書士により、戸籍謄本等が不正取得されている。

これまで山口県連も、県に対して市町での「本人通知」実施を求め交渉をおこなってきた。宇部支部も、市長や関係課などに申し入れをし、「本人告知」実施に向けて協議を重ねてきた。

今回、宇部市が県内で初めて、不正請求が明らかになった被害者への「本人通知」を実施することになった。

宇部市は、本人通知に先立ち「宇部市戸籍等不正請求に係る事務取扱い要領」を策定し、4月1日より施行した。

本人通知の要件としては、不正請求者に対する「罰金刑の確定」及び「不正内容が分かる国や県からの通知等公文書」が確認できた場合。

本人への通知方法は、原則として文書で本人へ通知する。

通知後、希望者には面談などによって、不正請求の事実関係、戸籍等の交付の仕組み、個人情報保護条例による開示請求方法について説明する。

その他、本人通知にあたっては、人権担当課などとも充分連携を図ることを示している。

また、施行前の不正請求に対しても、「この要領の取り扱いに準じて、通知するよう努める」としており、三重県の行政書士などによる不正取得の被害者に対する本人通知も、今後、実施していくとしている。

今後、宇部支部は、戸籍の不正取得を防止、発見できる仕組みとして、「登録型本人通知制度」の導入についても、宇部市に要請していく。

戸籍が第3者に取得されたら登録者 本人に通知する制度を

行政書士らによる不正が相次いだことから、08年5月に改正戸籍法が施行され、窓口での本人確認が強化されたが、委任状が偽造された場合などでは本人への確認が徹底できない。

現行法では「職務上請求書」や委任状偽造により、第3者によって戸籍等が不正請求されても、その事実を知ることは出来ない。

これまで問題になったものは、たまたま司法の場で明らかになったものだけであり、不正請求の氷山の一角である。不正請求の多くが、身元調査などに利用され、結婚や就職に際しての重大な人権侵害を起こしてきた事実を考えると、今後、いかに不正請求を発見し、防ぐことが出来るかを考える必要がある。その際に、有効なのが「登録型本人通知制度」である。

「登録型本人通知制度」とは、代理人や第3者の請求で、戸籍謄抄本や住民票が請求された時に、事前に登録した人に請求の事実を伝える制度で、不正行為に対する大きな歯止めになる。

すでに大阪府や愛知県、埼玉県などの自治体で実施されおり、戸籍の不正取得と差別身元調査の根絶、自己情報コントロール権の確立に向けて動いている。

今後、山口県連としても、県内の全市町でも不正取得の被害者に対する「本人通知」の実施、「登録型本人通知制度」の導入に向けた取り組みを積極的に展開していく。