第40号 なかまと語り、つながる高校生〜部落に生まれたことをプラスに思えた〜
解放新聞山口版 第40号 2009年8月28日
なかまと語り、つながる高校生〜部落に生まれたことをプラスに思えた〜
「なかま、つながる光へ前進!」をスローガンに、部落解放第41回全国高校生集会が8月1日から3日にかけて、長崎市の平和会館ホールを主会場に開催され、全国22都府県連から450人が参加した。
初日の全体集会では、基調報告のあと、核兵器の廃絶と世界平和の実現を国連で訴え活動している地元長崎の「高校生平和大使」からアピール、長崎支部解放子ども会の「いものこ」のメンバーによる太鼓演奏が行われた。
記念講演では、解放同盟長崎支部の中村由一支部長より「二つの誕生日~小さな差別、大きな痛み」と題して、被爆者差別と長崎の部落差別の現実が語られた。初日の夜は、全高で初めて交流会も行われた。
2日目の分科会は、4分科会で熱い討議が展開された。報告者の発表を受けて、それぞれが自身の部落差別の現実、自分の親の生きざまや、思いなどを語りながら、仲間とつながる大切さを実感し、互いに部落解放へのい思いを確認した。
最終日の3日目は、障がい者、心臓病、在日コリアン、性同一性障害、部落差別など5つのテーマに別れ、同世代の高校生や青年の当事者から話を聞き、交流と学習を深めた。
全高に参加して(高校3年生・感想)
私にとって今回の長崎全高は、高校生としての最初で最後の全高でした。今まで部落出身だという理由で差別されたり、身近な人が辛い目にあったこともなかった私は、部落差別についてそんなに深く考えることなく生きてきました。そんな私が全高というものを体験できたことは、この先、生きていく上での本当に大きな財産になると思います。
3日間を通してとてもたくさんのことを得ました。まず一番初めに驚いたことは、全国には反差別運動を盛んに行っている小中高校生が本当にたくさんいるんだということです。みんな当たり前のように学習会などをしているということを知り、そんな会があることすら知らなかった私にとってすごく衝撃的でした。山口はどうなっているんだろう、と他県の高校生たちがうらやましく思えました。
2日目の分科会は、3日間のうちでもっとも刺激を受けるものでした。私は今までいろんな辛いことを経験し、自分は他の友達とは少し違うなと思うことが何度もありました。しかし、この分科会では、今までそうやって悩んでいたことがちっぽけに思えるほど、たくさんの人の経験を聞くことができました。「大変だ」という言葉では表せないほど辛い体験でした。部落問題だけでない、いろんな悩みを抱えた人たちが涙を流しながら語ってくれたりして、生きる勇気や、なんでこんな思いをする人がいるんだろうという怒りなどが入り交じった気持ちになりました。
今まで、地元で人権問題などの勉強をする機会のなかった私が全高に参加できたということは、すごく貴重な経験だし、素敵な運命だったんだなと思います。心の中で思っていたことをみんなの前で言うことは、自分の気持ちを整理できるし、聞いた人たちの何かのヒントにもなるかもしれないし、そうすると自然と絆ができて、みんなが繋がり合えるんだと思います。
部落出身だということはマイナスなんかじゃありません。自分が部落じゃなかったら、もしかしたら差別発言をしていたかもしれません。だけどそうじゃなくて、部落出身だからこそ正しい知識を得られたり、全国に仲間がいたり、そして何より人間として豊かできれいな心を持てたりできると思うので、むしろプラスなんだと思えました。
部落の人より、人を貶したりする人の方がよっぽど可哀想な人です。こんな前向きな気持ちにさせてくれた長崎全高には、感謝の気持ちでいっぱいです。