第38号 半数が本籍などの違反項目~全社協が調査 結婚相談事業~
解放新聞山口版 第38号 2009年6月30日
厚生労働省交渉 半数が本籍などの違反項目~全社協が調査 結婚相談事業~
厚生労働省との交渉が6月9日、東京・中央本部でおこなわれた。交渉では、全国の社会福祉協議会で実施されている結婚相談事業の半数が、申込書に本籍地などの違反項目が設けてていたことが明らかになった。
厚生労働省との交渉では、差別の実態、隣保館の活用、生活保護、奨学金制度の問題などが提起され、交渉がおこなわれた。
昨年5月に発覚した萩市結婚相談所差別事件、宇部市社会福祉協議会結婚相談所での申込書への通達違反などの問題も取り上げられた。厚労省に対して当時の指導不足や全国社会福祉協議会が示したガイドラインの不徹底などが追及された。
萩市、宇部市社協での結婚相談所の問題を受けて、全国社会福祉協議会が昨年7月に全国の市町村社会福祉協議会に対して、結婚相談事業において戸籍提出や本籍地記載など差別につながる恐れのある登録・申込書を改善するように指導し、実態把握をおこなった。その結果、全国で165ヶ所の社会福祉協議会が結婚相談事業を実施、そのうち83ヶ所が独身証明書を使用せず戸籍を提出させたり、申込書に本籍地記載など国の通達違反の項目が記載されていたことが明らかになった。
これらは10年前にも問題になり、すでに国や全社協が度重なる改善指導をおこなってきたにも関わらず、今回、半数以上の結婚相談事業で違反が発覚した。この現実は深刻であり、谷元書記次長は、「不適切な項目の削除」という申込書の単なる書式変更でなく、なぜ戸籍・本籍を取得することがいけないのか、戸籍・本籍をめぐる差別の事態をしっかりと把握し理解していないと意味がないと指摘し、厚生労働省に対して、書類の見直しを要請した。省側は「もう一度省内を点検したい」と述べた。