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【新刊案内】村﨑太郎の自叙伝 『ボロを着た王子様』

「もう隠していたくはない。『バレる』ことを恐れて生きていきたくはない。だから、僕は今語る。すべてを語る」村﨑太郎の自叙伝『ボロを着た王子様』(ポプラ社、1400円)が出版された。

猿まわしを復活させてきた背景に部落解放への思いがあったこと、有名になったが部落出身ということを言えず、悩み続けてきた半生が赤裸々に綴られている。

今回の出版のきっかけとなったのが、『太郎が恋をする頃までには…』(幻冬舎、08年10月)の反響だった。パートナーの栗原美和子さんが私小説という形で、村﨑太郎の生い立ちと二人の結婚差別の現実を世に問うた。

しかし、世間の反応は予想以上に冷たく、部落問題は「ちっとも解決されていない」ということを痛感した。本書のあとがきにこの本の本質がある。

「僕は、48歳で、AB型で、ゴルフが好きで、寿司が好きで、猿と芸をしていて、部落民です」といいたい、「嘘をつきたくない」と言いながら、この本では「地名や人物名などの固有名詞を架空のもにしなければならなかった」ことが、「これが現実なのです」と記されている。

「ふるさとを隠すことを父はけもののような鋭さで覚えた」「息子には、ふるさとを胸張って名乗らせたい」(丸岡忠雄)との叫びが、今も山口県の現実に重なる。

ぜひ、一度、本書をお読み下さい。