K社周南店 第2回確認会 ~現場と上司 部落差別に対する現状認識のズレ~
K社周南店に対する第2回確認会には周南店の上司であるエリア部長・課長をはじめ、本社・法務部長、管理部長、弁護士らが出席。
★なぜ、指摘・指導しなかったのか?
課長は「D地区のド真ん中 地域性注意」との差別記載を見て、「店長は買いたくない」「欲しくないんだ」という認識はあった。しかし、いい物件だったため入札価格の値上げを指示した。その時、差別記載を「問題である」と思うことなく、無意識のうちに決裁。
部長も決裁をしているが「(同和地区)それ以外にも、いろんな『落書き』がくるので、見落としていたかもしれない」と答えた。「落書き」とは、組事務所(暴力団)や踏切(騒音)などの特記事項のメモのことである。
★部落差別は「落書き」と同レベル
部長は部落差別を「落書き」と同レベルで語り、反省した様子もなく、差別記載を見ても「見落としていたかもしれない」と、平然と語った。さらに、差別記載をしたのは「店長個人が勝手に思ってやったこと」「成績が出てない店長だから弱気で、自分も買いたくないか、後々大変な思いをするのが嫌だから、焦りもあって記載したのでは」と、店長個人の営業成績や能力の問題にし、上司としてそれを見過ごし、容認してきた自分を反省することもなかった。
このような部長の姿勢に対して、県連からは「部長にとって部落差別は『落書き』程度の問題か」「そのような認識だからこそ、差別記載を平気で見落とすのではないか」「部落差別はおかしいと本当に思っているのなら、なぜ部下に指導・注意をしなかったのか」と上司としての責任を厳しく指摘した。
★同和問題に対して無知・無理解な課長
エリア課長は40代で同和問題については「道徳の時間に人権の時間があった」という程度の認識であった。
課長は事件が起こるまで「部落」を「集落」という意味で理解しており「部落とか何も考えず、意識せず値決めをしていた」という。
★部長の同和問題認識
西日本エリアを担当する部長は50代。小さい頃から同和地区が近くにあり、友人もいた。学校も同和教育に熱心で、親からも差別してはいけないと教わってきた。20代から不動産業に関わっているが当初から「同和地区への質問は答えてはいけない」と知っていた。会社や地域で人権研修を受けたことはなく、法定講習でも人権研修はあったかもしれないが、覚えていない。
★同和地区は価格に影響しない?
部長は「同和地区ということは価格に影響しない」「気にしないと言えばウソになるが、それ以上に判断基準がある」という。
値決めの判断基準は①坪単価、②築年数、③駐車場、④道が9割。実際に店長から提示されてきた値段よりも高く値決めをしているとのこと。
近年、競売物件は競争が激しく、最低落札価格の2~3倍で入札しないと落とせない。そのため上司は現場が提示してきた値段より、高めに設定していく傾向がある。
★近隣住民が購入
K社は中古住宅販売会社であり新築業者とは違う。購入者の8~9割が近所や近隣(車で5分以内)の人で、購入者は物件が同和地区であることを知っているケースが多い。だからこそ、現場は相場より「安くしないと売れにくい」という判断をする。(差別的評価を含む「適正価格」)
★成績(給与)へ影響
同和地区の物件は売れにくいため、競争他社が少なく、低価格で落札できる。最低価格の2~3倍の高値で落札しても、実際には安くしないと売れないため、その分、店長は損をし、自分の成績(給与評価)に影響する。周南店の店長は、以前、防府市内の同和地区の物件で販売に苦労した経験がある。そのために、今回の同和地区の物件を「D地区のド真ん中 地域性注意」と、上司に注意喚起している。
★現場と上司の土地差別の認識のズレ
現場では同和地区の物件は「安くしないと売れにくい」と認識。だから、高く入札すると、その分、損をする。
上司は、土地差別の現実に対する認識が甘く、とにかく落札するために、入札価格を上げる。店長は利益を取りたいから同和地区の物件の場合「価格を抑えて欲しい」と上司へ「注意喚起」をしていた。
今回の周南店における第2回確認会では、不動産購入において、同和地区を忌避する市民の根強い差別意識が明らかとなった。
その差別の現実の中で営業活動をしている現場と、部落差別に対して無知・無理解な上司の現状認識のズレによって、今回の差別記載が生み出されていたことが明らかとなった。